File no 001

線香花火の原料

原料を確保する難しさ

筒井時正玩具花火製造所の【 西の線香花火 スボ手牡丹 】は、線香花火の原型で300年続く歴史のある花火。 昔ながらの製造方法で作っている人が少ないということは、その原料を作っている人も少ないということで原料集めにはいつもとても苦労していますが、 「うちが辞めてしまえば300年の歴史を途絶えさせることになる!絶対に守らなければ。」という想いとたくさんの人たちの協力により、少しずつですが原料集めまで自分たちの手でやり始めています。

 


写真左:西の線香花火 スボ手牡丹 写真右:収穫、乾燥、スボを抜く作業と花火になるまでの工程がたくさん。

稲藁の芯は、スボ手牡丹の持ち手部分となります。 稲藁の仕入れは、蚕用のほうきとして穂先を輸入して造っていた業者さんより、穂先下の節から節の間を譲ってもらい花火に利用していたのですが、現在は養蚕業者も少なくなり箒の需要も減ってしまい、数年前より藁を譲ってもらえない状況となってしまっていました。 その頃から藁のことを学び花火に使えそうな米の品種を探したり、干し方、抜き方いろいろな研究が始まりました。

米もコンバインで刈る時代。 ほとんどが短くカットされ田んぼの中に漉き込まれているのですが地元の農家の方におねがいして長くカットしてもらい、数日間立てて田んぼの中で乾燥させます。 乾燥が終わる○月上旬から1年間かけて稲の中から芯(藁スボ)を抜き出し、花火の製造工程のスタートに立ちます。 芯を抜く作業は老人ホームや障害者支援センターの方々の手で大事におこなわれています。

こうして出来上がるスボ手牡丹は関西地方で主流の線香花火ですがほとんで流通していないため今では希少な存在となっています。 遊び方も紙のタイプの長手牡丹と違い斜め上を向けて遊びます。 “風があった方がきれいに咲く”という線香花火の常識を覆す西の線香花火はてまひまかかった線香花火なのです。 空気が澄んだ冬の夜に是非お楽しみください。