File no 003

パッケージデザイン

線香花火を表した包み方

筒井さんご夫婦と初めてお会いしたのは7年前になります。オリジナルの線香花火は完成したもののパッケージや全体のブランディングをどうしていいかわからない、という相談だったと思います。話をいただいたのが4月で、販売開始が7月という短納期のプロジェクトだったので、商品ラインナップの整理からはじまり、ロゴ・パッケージ・その他諸々と、その3ヶ月間はほぼこの仕事しかできなかったのを記憶しています。

当初、開発を予定していたのは3,500円・5,000円・10,000円の3つのラインナップでしたが「興味を持ってくれた人の入口になるような1,000円の商品をつくりましょう」とコチラから提案して、4つのラインナップにすることになりました。ゼロスタートのプロジェクトで色々とお金が掛かるところに、もう1つ商品を増やすことに合意していただけたことは本当に嬉しかったです。

とは言え、そんなにお金は掛けられない状況だったので、低コストで且つ1,000円に見合う存在感を持ったパッケージを考える必要がありました。

ヒントになったのは線香花火そのものです。糊(のり)を使わず紙を撚る(よる)ことで火薬を包みます。一般的なパッケージといえば、印刷した紙を型で抜き、糊等で接着しながら組み上げますが、最後の「組む」作業はなかなか機械でできるものではなく手作業になってしまい、コストアップになってしまいます。

線香花火と同じように糊を使わずにモノを包むことができれば「組む」作業が省かれて、結果的にコストダウンにつながると考え、四角い紙を螺旋状に折り上げていく構造に辿り着きました。

実際につくってみると思ってもない方向に捩れたりと、形状がなかなか安定しなかったため、紙厚を考慮し0.1mm単位で微調整を繰り返して完成しました。

7年間そのままのカタチで売れ続けていることに、嬉しく思います。