File no 012

硫黄島からこんにちは

大岩根 尚

Date:2019.10.21

はじめまして、大岩根 尚(おおいわね ひさし)といいます。ぼくは鹿児島の離島、硫黄島に住んでいます。

硫黄島というと「あの戦争の…」ということになりがちですが、あっちは小笠原諸島の「いおうとう」。こっちは鹿児島の「いおうじま」。読み方が違うんです。鹿児島なので「薩摩硫黄島」とよばれることもあります。

僕が住んでいる硫黄島は、九州本土南端の枕崎や指宿から見える位置にあります。
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有名な種子島や屋久島よりも距離的には本土に近いのですが、高速船の運航がないので時間がかかります。鹿児島市内からフェリーで4時間、のんびりとした船旅で行くことができます。
自治体としては、三つの島からなる「三島村(みしまむら)」という自治体の中央に位置する島です。硫黄島の人口はなんと130人。集落は全員知り合いで、コンビニはもちろん、スーパーはなく個人商店が一つ、銀行も病院もない、そんな静かな島です。

さて、僕が硫黄島に移住する前は、三島村役場に3年半ほど勤めていました。三島村役場は、なんと鹿児島市内にあります。その役場から、ときどき硫黄島や両隣にある竹島・黒島に通って「ジオパーク」のプロモーションの仕事をしていました。「ジオパーク」というのは、地球科学の専門的な知識を活かしながら持続可能なまちづくりを推進する活動のこと。僕は、自分のバックグラウンドを活かして、そのための専門職員として働いていました。

ジオパークに携わる前は、地質学者として、大地の動きや気候変動に関連した研究をしていました。大学で教えていたこともありますし、南極観測隊にも行かせてもらったこともありますが、研究よりもっと遊びたい、というよくわからない衝動に従って研究者を辞め、ジオパークの世界に入り、その活動のなかで硫黄島のことが好きになりすぎてしまい、役場を辞めて硫黄島に移住し、2年が過ぎたところです。

そういう僕の変な(笑)バックグラウンドのおかげで、ここの研究員でもある大島くんに出会い、筒井さんとのご縁につながり、ここに研究員として加えてもらえることになりました。その経緯もいつかここで紹介できたらと思っています。

前置きが長くなってしまいましたが、その硫黄島が、なぜ花火に関係するのか。勘のいい方はお分かりだと思いますが、硫黄が花火の原料だから、です。フェリーから見える硫黄島は、こんな姿をしています。

かっこいいですよねー!見ての通り、硫黄島は火山島です。山頂はもちろん、山肌のいたるところから噴煙をあげ続けています。詳しいことはまたそのうちお伝えしますが、火山の噴煙が出ているところには硫黄が産出します。この硫黄が、実は昔から火薬の原料として使われていました。いま僕たちは、この硫黄島の硫黄を使って花火を作る、というプロジェクトを進めているのです。

そんなわけで、このブログでは、天然硫黄を使った花火作りのプロジェクトの様子や、そもそもなぜここで硫黄がとれるの?なぜ火山があるの?硫黄島がどんな島なのか、といった地質学的な背景、そして硫黄島で硫黄が採掘されていた頃の歴史的なお話、などをお伝えできたらと思っています。

不定期の投稿になると思いますが、どうかお付き合いくださいね。